香りと風味と旨味が口の中に広がる一品:手羽先と干し椎茸と筍の煮込み

手羽先と干し椎茸と筍の煮込み
手羽先と干し椎茸と筍の煮込み

メインとなる手羽先、干し椎茸、筍を長ネギ、鶏ガラスープ、醤油、紹興酒、砂糖、オイスターソース、胡椒とともに煮込んでフワフワと柔らかくなように仕上げました。 

手羽先は皮も肉もトロリとなっていて骨離れも良く、干し椎茸の風味と香りが肉に染み込んでいて美味しかったです! 

それぞれの個性的なコクと旨味と香りの競演を楽しむことのできる一品だと思います。 

この料理には紹興酒を調味料として使っていますので、合わせるお酒も紹興酒が良いですね! 




干し椎茸 


干し椎茸が、生椎茸よりも香りと旨味が強いのは、乾燥する過程で酵素と熱の働きによって、レンチオニン(香り成分)とグアニル酸(旨味成分)が増えるためなのだそうです。

また、椎茸の成長程度の違いから、その呼び名に違いがあります。 


肉厚でかさが開ききっていないものを冬菇(どんこ) 


冬菇
冬菇

食感:厚みがあるのでムッチリ・モッチリとした弾力。

香り:切干大根のような強い香り。

味わい:濃厚で深い旨味があり、戻し汁も濃いめ。

合う料理:煮物、椎茸ステーキ、味噌煮込み等



薄手でかさが開いている香信(こうしん) 


香信
香信


食感:サックリとした歯切れの良さがある。

香り:穏やかな香り。

味わい:軽やかで出汁が出やすく、戻し汁は薄め。

合う料理:チラシ寿司、炒め物、スープ等



冬菇と香信の中間的存在の香菇(こうこ) 


香菇
香菇

食感:ほどよい厚みと柔らかさがある。

香り:穏やかで椎茸らしい香り。

味わい:旨味と香りのバランスが程よい。

合う料理:茶碗蒸し、炊き込みご飯、和え物等


ちなみに干し椎茸は、9世紀頃に中国から渡来してきたそうです。 

干し椎茸の渡来は、空海(諡号弘法大師)が中国から帰国後、椎茸を干すという食文化を伝えたという伝説もあるそうです。 




筍 


 筍は竹(イネ科タケ亜科タケ類)の地下茎から出る若芽の部分になります。

一般的にスーパーや八百屋やデパートで流通している筍の多くは『孟宗竹』のものとなります。 

孟宗竹は、中国江南地方が原産地とされていて、日本へは1736年(江戸時代中期の元文元年)に中国から琉球に入ってきたそうです。 

それが薩摩へ伝わり、さらに江戸にもたらされ、全国に広まっていきました。 

大正時代に入ると栽培面積が急増していくこととなりますが、孟宗竹は東北より北の地域ではあまり生育しないということです。 

筍自体は、『古事記(漢字と万葉仮名が混ざった日本の日本神話を含む物語性の高い文献で、現存する日本最古の書物)』に笋(タカムナ)と記載されており、このため日本にも筍が古くから知られていて馴染み深かったことが分かります。

ちなみに、筍を食用としているのは日本、中国、韓国等の東アジアの限られた国だけだそうです。 


今回、料理に使っている筍は孟宗竹です。 


孟宗竹の筍
孟宗竹の筍

この筍は大きく太く育ち、柔らかな食感と上品な旨味のある味わいが特徴です。 

今回は孟宗竹の筍の季節からは外れているので、料理には水煮のものを使いました。


四方竹 


筍というと春のものというイメージがありますが、秋に採れる筍もあります。 

四方竹です。 


四方竹
四方竹

余り馴染みが無いと思いますが、これには理由があって旬が1ヶ月程度とかなり短いんですね。 

しかも、この筍は切り取った瞬間からえぐみが回って、皮を剥いた瞬間から紫色に変色してしまうという特徴があります。 

なので、良品質のまま遠くへ輸送するのが困難だったので、地元(高知県)で消費するしかなかったという理由から認知度が低かったんですね。

それが近年、色よく緑色の状態で茹であげる『筒井式ボイル法』が考案され、水煮の状態で全国への発送も行われるようになってきました。 

この四方竹の筍の味わいは孟宗竹の筍のものと比べて少々旨味に欠けるのですが、コリコリ・パリパリとした身の食感が実に軽快で心地良いです。 

秋に収穫される珍しい筍を使ってこの料理を作ってみても面白いと思います。 




材料(2人分)


  • 手羽先・・・6本 
  • 干し椎茸・・・3枚 
  • 筍・・・50グラム 
  • 長ネギ・・・5センチ×2本 
  • 鶏ガラスープ・・・250ml 
  • 中国醤油(下味用)・・・少量 
  • 紹興酒(下味用)・・・少量
  • 中国醤油・・・大さじ1杯 
  • 紹興酒・・・大さじ1杯 
  • 砂糖・・・大さじ0.5杯 
  • オイスターソース・・・大さじ0.5杯 
  • 胡椒・・・適量 
  • 水溶き片栗粉・・・少量 




代用食品 


上記の材料が揃わない場合の代用の食材の一例です。 

家にある食材を使って作ってみてください!

なにか新しい発見があるかもしれません! 


  • 筍の代用:大根、ヤングコーン、蓮根
  • 中国醤油の代用:日本の濃い口醤油
  • 紹興酒の代用:日本酒




作り方 


  1. 鶏手羽は紹興酒と中国醤油を加えて、よく揉んで下味を付けます。 
  2. 中華鍋に油をひいて熱し、鶏手羽の両面がキツネ色になるまで焼きます。 
  3. 煮込み鍋に油をひいて熱し、長ネギを入れて、軽く炒めます。 
  4. 煮込み鍋に鶏ガラスープを注ぎ入れ、鶏手羽、そぎ切りにした干し椎茸、乱切りにした筍を入れて中火で一煮立ちさせます。 
  5. 浮いてきたアクを取り除き、中国醤油、紹興酒、砂糖、オイスターソース、胡椒を入れ弱火で20分程度煮込みます。 
  6. 最後に水溶き片栗粉を回し入れて、ソースにトロミが付いてきたら出来上がりです。 




食材の旬 


  • 長ネギ:12~2月 
  • 筍:3~5月中旬(孟宗竹)、4月中旬~5月(淡竹)、5~6月中旬(真竹)、5月中旬~6月(根曲がり竹)、7~8月中旬(寒山竹)、10月(四方竹)

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