陳建民さんが日本人向けに考案した辛味を抑えた麻婆豆腐:赤坂四川飯店の元祖麻婆豆腐

赤坂四川飯店の元祖麻婆豆腐
赤坂四川飯店の元祖麻婆豆腐

辛味を抑えた麻婆豆腐です。 

辛い麻婆豆腐が苦手な方にはピッタリな一品だと思います。 

この麻婆豆腐は日本にまだ豆板醤が知られていなかった時代に、料理の鉄人に出演されていた陳建一さんのお父さんの陳建民さんが作り出したものです。 

当時の日本には四川省の豆板醤級の辛さの味わいというものは一般的には存在していませんでした。 

そこで日本人の味覚に合うように辛さを考慮しながら研究して作り上げたのがこの麻婆豆腐です。 

陳建民さんの凄いところは自身の故郷の味わいを日本人に合わせるべく躊躇なくどんどんと変えていったところだと思います。 

彼の料理には縦横無尽な革新性と伝統にとらわれない柔軟さと『四川料理』というものを日本の家庭に浸透させるという意気込みを感じさせてくれます。 




麻婆豆腐の歴史 


四川省で生まれた麻婆豆腐を日本人向けにアレンジしたのは陳建民さんですが、考案したのはまた別の方になります。 

1862年(清朝末期)、四川省成都の北郊外の北門にある万福橋近くに陳興盛飯舗という食堂があり、陳富春さんとその妻の陳劉氏さんが切り盛りをしていました。


成都 文殊坊の風景
成都 文殊坊の風景

ある時、陳劉氏さんが有り合わせの材料で来客向けに『紅焼豆腐』を作ったのが麻婆豆腐の始まりだと言われています。

陳劉氏さんの顔に痘痕があったため『陳麻婆(痘痕顔の陳おばさん)』という渾名で呼ばれていました。 

なので、彼女が作る名物の豆腐料理も『陳麻婆豆腐』と呼ばれるようになります。

陳麻婆豆腐という料理名は彼女が付けたものでは無く、来客が勝手にそう呼んでいたそうです。

 『痘痕顔の陳おばさんの豆腐料理(陳麻婆豆腐)』、彼女は当初このような料理名では無く、『成都豆腐』等の名前にしたかったと言われています。

後に店名も『陳麻婆豆腐店』と呼ばれるようになりました。 

1956年、中華人民共和国成立後に成都市飲食公司所有の国営企業となり、商標となってからは国の許可を得た民間の店舗も四川省成都市にあります。




麻婆豆腐の材料(2人分) 


  • 木綿豆腐・・・0.5丁 
  • 油・・・適量 
  • 豆板醤・・・大さじ0.5杯
  • ニンニク・・・小さじ0.5杯 
  • 肉味噌(炸醤)・・・40グラム 
  • 鶏ガラスープ・・・75ml 
  • 豆鼓・・・小さじ0.5杯 
  • 紹興酒・・・大さじ0.5杯 
  • 中国醤油・・・大さじ0.5杯 
  • 胡椒・・・少量 
  • 長ネギ・・・1/6本 
  • 水溶き片栗粉・・・大さじ1.5杯 



肉味噌(炸醤)の材料 


炸醤の『炸』は『しっかりと炒める』で、『醤』は『ソースや味噌』という意味になります。

発祥は山東省が有力とされています。

炸醤は家庭料理に使う調味料として親しまれていて、地域によって個性があります。

例えば、山東省では甜麺醤を使った甘めの味付けで、北京では黄醤(大豆味噌)を使った発酵の風味が強く深みのある味で、四川省では豆板醤と花椒を使った辛味のある味が特徴です。

お好みによっていろいろと使い分けて作ってみるのも良いかもしれませんね!


肉味噌(炸醤)
肉味噌(炸醤)


  • 豚挽肉・・・150グラム 
  • 油・・・大さじ1.5杯
  • 紹興酒・・・大さじ1杯 
  • 中国醤油・・・大さじ1杯 
  • 甜麺醤・・・大さじ1杯
  • 胡椒・・・少量 




代用食品 


上記の材料が揃わない場合の代用の食材の一例です。 

家にある食材を使って作ってみてください! 

なにか新しい発見があるかもしれません! 


  • 豆鼓の代用:たまり醤油、赤味噌
  • 紹興酒の代用:日本酒 
  • 中国醤油の代用:日本の濃い口醤油




肉味噌(炸醤)の作り方 


  1. 中華鍋に油をひいて熱します。 
  2. 豚挽肉を入れてよく炒めます。 
  3. 紹興酒、中国醤油、甜麺醤を加え、水分が飛ぶくらいまでさらに炒めてできあがりです。 



麻婆豆腐の作り方 


  1. 木綿豆腐は1.5センチ角に切って、塩を入れた熱湯で茹でます。
  2. 中華鍋に油をひいて熱し、豆板醤、すり下ろしたニンニク、肉味噌を入れて炒め、鶏ガラスープ、みじん切りにした豆鼓、中国醤油、紹興酒、胡椒を加えて数分間煮ます。
  3. みじん切りにした長ネギを加え、水溶き片栗粉を入れてとろみを付けます。
  4.  強火にして鍋肌から油を回し入れてできあがりです。 




食材の旬 


  • ニンニク:6~8月 長ネギ:12~2月

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