ある時、孫悟空(西遊記)は蟠桃園の管理人に任じられました。
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| 孫悟空(西遊記) |
天界の蟠桃園には大切な蟠桃の木が沢山植えられており、その枝には瑞々しい蟠桃がたわわに実っています。
この蟠桃の木は総数にして、3,600本あったそうです。
- 手前に植えてある1,200本は3000年に一度実を付け、それを食べると仙人になれるそうです。
- 真ん中に植えられている1,200本は6000年に一度実を付け、それを食べると不老長寿になれるそうです。
- 一番奥に植えられている1,200本は9000年に一度実を付け、それを食べると天地日月が存在する限りにおいて生き長らえるそうです。
「不老長寿になるんだったら、食ってやる!」 と、孫悟空は管理を放棄して蟠桃を勝手にガンガン食べまくりました。
玉帝(道教における最高神で、天界の支配者。)はこの暴挙に怒って孫悟空に死刑を命じますが、蟠桃を山のように食べているので決して死なないんですね。
孫悟空 孫悟空 刀で切り付けようが槍で突こうが、ちょっとやそっとの攻撃ではビクともしない体を手に入れることとなったのですね。
なぜ孫悟空は不老長寿であんなに強いのか? その理由の1つとして、この蟠桃を食べたことが挙げられます。
西遊記
西遊記は、16世紀(明代)に書かれた仏教・道教・民間伝承が融合したファンタジックな物語(玄奘三蔵一行が天竺を目指し取経を果たすまでを描いている)で、『三国志演義』、『水滸伝』、『金瓶梅』と並ぶ『中国四大奇書』の一つとなっています。
作者は、呉承恩(1504年頃 - 1582年頃、江南省出身)とされていますが現在のところ確定はしていません。
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| 西遊記の像(中国 西安市・大唐芙蓉園) |
ちなみに日本では1978年に孫悟空役の堺正章主演のTVドラマが有名ですよね。
孫悟空は猿、猪八戒は豚の化身ということでビジュアルも分かりやすかったですよね。
沙悟浄は河童なのですが、これは誤った解釈によるものだったそうで、『弱水の流沙河』という部分を水の流れている『河』だとイメージして翻訳してしまい、河に住む妖怪といえば日本では『河童』が馴染み深くて親しみやすいということで採用されたということです。
流沙河とは、正しくは『流砂のある砂漠地帯』という意味になるそうです。
オリジナルの沙悟浄は、
- 紅い炎のような色のフワフワろした髪の毛
- 光る円い目玉
- 黒いとも青いとも言えないような藍色の顔
- 雷や太鼓の音のような恐ろしい声
という容姿と特徴があるそうで、日本のキャラクターとは全く異なっていますよね!
蟠桃
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| 蟠桃 |
西遊記という物語、これは創作話ですが実際に蟠桃という名前の果物は存在します。
蟠桃は中国原産の桃の品種で、日本で売られている一般的な桃よりも水分量は少ないのですが、濃厚な甘み(糖度12~16度)と香りを持ちシッカリとした果肉とモッチリとした食感のある桃です。
蟠桃の名前の由来について『蟠』は『とぐろを巻く』等の意味があり、桃の形状に由来しているそうです。
別名として『平桃』や『座禅桃』とも呼ばれています。
蟠桃は、単なる果物ではなく、神話・文学・歴史の中で生きているユニークな存在なのかもしれませんね。
蟠桃は日本でも味わう事ができます。
蟠桃の断面 蟠桃の断面 主に福島県、和歌山県、長野県、山形県などで僅かに生産されており、収穫時期は7月下旬から9月上旬までなので興味のある方はぜひ食べてみてください。
ちなみに地上のお店で売られている蟠桃を食べても不老長寿にはなりませんのでお気をつけください!
不老長寿をご希望の方は天界まで食べに行ってもらう必要(住所不明)があります!!!



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